参考文献紹介第1回「ソーセージの製法が載った日本で最初の文献?」

このサイトでは日本におけるソーセージの歴史についても情報を発信していきたいと思っております。
とは言っても、ソーセージが普及した大正初期のことを知っている方はなかなかいらっしゃらないので、あくまで参考になる文献のご紹介と抜粋となりますので、ソーセージの歴史については皆さん想像してみて下さい。

第1回目にご紹介するのは、明治25年に博文舘より発行された農学士、今関常次郎氏の著書「農産製造萹」です。

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デジタルデータ

なぜこれがタイトルの「最初の文献?」となるかというと、国立国会図書館で「腸詰」のキーワードで「古い順」で検索したところ、こちらの文献がヒットしました。キーワード「ソーセージ」ではここまで古い文献は出てきませんでした。

この本の246ページから「燻腿(ハムのこと)、燻肉(ベーコンのこと)、及腸詰製法」とそして腸詰の製法の記述があります。現代風な表現にして以下抜粋させていただきます。

『腸詰(ソーセージ)の製法』
豚の腹腸を以て腸詰を製すべし。その方法はまず腸内の内容物を残すことなく撤去し、各々1尺くらいに切断しその中、外面に付着する脂肪及び皮上を削り去れば、透明にして強靭なる薄管を得られる。これを塩漬けにしておき次に豚の「ロース」肉を細かく刻み、すり鉢に入れて良く擦りつぶし、食塩、香辛料及び牛脂を適宜混和して、これを先程準備した腸に入れ満たすために、短い竹管を其の口に挿れこれによりて指を以て押し入れる。終わったならばタコ糸を使ってその両端を縛れば腸詰になり、直ちにこれを食用に供するか、またおおよそ2か月間は之を貯えることが可能である。( 抜粋以上)

生肉を腸詰めした後の、燻煙やボイル等の処理方法の記述がありませんが、2か月間の貯蔵が可能とありますので、おそらく腸詰め後、燻腿、燻肉と同じように燻煙するのだと思われます。

なお、腸詰め後加熱してすぐに食べてしまうのは、現代でいうフレッシュ(生)ソーセージです。

『フレッシュソーセージ(Fresh sausage)』
フレッシュソーセージとは、新鮮な畜肉、通例は豚肉と牛肉を挽肉にして食塩等の塩漬剤や香辛料等で塩漬・味付けした後、ケーシングに充填しただけのソーセージである。(中略)食べる時には、そのままフライパンの上で焼く、あるいはスチームで蒸す、あるいは電子レンジで加熱する等の処理を行う必要がある。メリットは加熱直後に食べることが出来ることから、幾分調理したような食感が楽しめることであろう。
(農学博士 伊藤肇躬著 ㈱光琳発行 肉製品製造学 より引用)

当会で開催する、「ソーセージ手つくり体験教室」で体験いただいているのはこのフレッシュソーセージです。

何はともあれリンク貼っておきますので是非見てみて下さい。コマ番号は131コマです。