参考文献紹介第6回は、大正8年に農商務省農務局から発行された「農務彙纂第75号本邦ニ於ケル乳製品ト肉製品」です。
参考文献紹介第5回で、大正4年におけるソーセージの生産額、製造業者の紹介を行いました。本書はその翌年に発行された報告書で、大正5年の乳製品と肉製品の製造状況の調査報告書となります。
大正4年当時のソーセージの製造者は全国に4名、その生産量は38,700斤(23,220kg)、罐詰は600個でしたが、大正5年では民間の製造者は7名、生産量44,528斤(約26,718kg)と増加しています。
製造者とその生産量は以下の通り。
兵庫県神戸市元町1丁目 高橋 清平 16,000斤
長崎県長崎市梅ケ埼町 平山権四郎 1,200斤
長崎県長崎市梅ケ埼町 中村朔次郎 150斤
千葉県印旛郡富里村 岩崎久弥(末廣農場) 1,080斤
鳥取県立農学校 6斤
徳島県新魚村 濱口伊平 25,892斤
注目すべきは、徳島の濱口伊平氏の生産量がダントツであることです。これは第1次大戦において、徳島県にドイツ人の捕虜収容所ができ、濱口伊平氏がドイツ人のためにソーセージを製造し納品していたためです。国産ソーセージ最大の納入先がドイツ人捕虜収容所であったとは驚きです。
(詳しくは鳴門市ドイツ館 http://www.city.naruto.tokushima.jp/contents/germanhouse/about.html)
また、本書のハム・ソーセージ製造業者として大木市蔵氏の勤務先である江戸清 高橋清七氏の名があります。
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